FTA手法、FMEA手法、安全性設計技術
FTA、FMEA by Design Safety System
原因から結果を予測する,これが順問題
対し,結果から原因を探る、これが逆問題である。では、どちらがFTAでFMEAはどっちでしょうか。
たとえば,新しいルールを職場に展開する、職場内の話し声やミーティングの会話から,新ルールの広がりを知る。入力(原因)から出力(結果、観測)を探し求める、これが順問題です。ですが、新ルールはどのように浸透しているのかを知るために、現場コミュニケーションをいつもより多くし、水面下深層ではどうなっているか、”新ルールは理解されていようだな、あるいは、新ルールは部分的に理解実行されているだけだ” と知り、「ナゼ」かなを5Whyを使い深堀りする、これが結果からなぜ、なぜ……と結果から原因を追究する逆問題です。この事件の結果を知るだけではなく、「ナゼ」そうなるのか,なったのかシャーロックホームズやハリーポッター、ポアロのような謎解きに似ています。
出力(出力のたとえは、事故、故障、災害など)から入力(原因、背景要因)を推定、さらに入出力の関係性を推定する。そして実際に起きた災害の調査は事実を検証する。逆問題とは( inverse problem)、ある現象に着目して観測データから,その原因や現象を支配しているパラメータなどを決定する方法.
FMEAは入力(入力のたとえは、部品、ネジ、ばね、電子素子など原因)から出力(機器の故障・損傷・ひび割れ・歪み・変形・腐食・隙間によるガタ・摩耗…などの結果)を求めます。これは順問題です(direct problem)、ある現象に着目し、原因(入力)から結果や応答(出力)を推定する解析方法です。
- FTA手法もFMEA手法も,信頼性,保全性,安全性,経済性などの「品質」特性へ影響をする「機器や部品」の故障要因を探り出す手法です。
- FTA手法は,発生が望ましくない「ひとつの(品質)特性」を頂上事象(トップイベント)と設定し機器や部品の発生要因を探求する手法です。
- FMEA手法は,「複数の(品質)特性」に重大な影響を与える機器や部品の故障モードを解析し機器や部品の不具合を前もって選んでアクションをする手法です。
FTA 手法は,
不具合結果のテーマを設定「頂上事象」としてスタートします。最初にシステムや機器へのを望ましくない事象(予想される不具合、事故災害調査は起きた事故)を「頂上事象」とします。スタートから要因を段階的に「なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ…」と繰り返し、下位レベルにおける異常事象を手繰り続け、根本原因・真因にたどり着くまで続けます。FTA図を作りながら原因(真因、根本原因 Root Causesを深堀する手法「トップダウン手法」といわれることもあります。
FMEA手法は,
機器、部品の機能上の品質影響が大きい問題を発生させる要因、そしてそれらの原因がどこに潜んでいるか、機器や部品の故障モードのデータを抽出すること、そしてそれらの故障モードが起きる発生時のサブシステム,システムの品質上の影響をワークシートを使うことにより重要な故障モードを摘出する手法。「ボトムアップ手法」といわれることもあります。
FTA手法とFMEA手法との解析手順の相違を示す:
ロケットでは、下ボトムの部品、ばね類が故障し、いくつかのサブシステムそのまたサブシステム、そして本体システムそのもの、すなわちロケット打ち上げ、分離の失敗なく、財産となるロボットの打ち上げ任務達成、成功につながる。
故障率は非常に低いことが多いため、特に個々の部品の故障では、100万個あたりの故障数または工学表記(10-6)で表されることがよくある。例えばデバイスの故障率(Failures In Time、FIT)は、10億(109)デバイス時間の動作で予想される故障の数で、たとえば、1000個のデバイスで100万時間や、100万個のデバイスで1000時間など、さまざまな組み合わせが考えられる。この用語は、特に現在は半導体業界で多く使用されている。
安全性設計技術
ここから、FTA手法、FMEA手法の結果を活かす「安全性設計技術」です。
安全性設計技術
生産プラントだけでなく,家電製品、自動車、交通設備・装備のように利便性が高く使用される製品などに、使用中の安全上の問題が起きないようにする技術で、製造物責任の点から,安全性の問題を消費者に与えない、影響させないための未然事故防止設計。安全性に問題のある故障が発生した時、非常事態、事故拡大を防止する技術です。
安全性設計技術は,事故防止技術と非常時事故拡大防止技術に分けることができ、事故防止技術は,まず製品故障の発生を防止するため信頼性設計技術を使うこと。製品故障による事故の発生要因を防止、さらに事故が発生した場合に,被害を最小限にとどめる技術として「非常事態、事故拡大防止技術」,非常用の電源設備や警報装置,誘導装置などの設置を検討します。
製造物責任と製品安全
1994年6月制定の製造物責任法の製造物責任は製品欠陥により使用者が受けた損害に対する製造業者の賠償責任。製品欠陥には①設計上の欠陥,②製造上の欠陥,③警告,表示上の欠陥があり,①,②の欠陥発生防止のためにFTA手法が活用できます。
製造物責任予防(PLP:Product Liability Prevention)は,2つに分けられます。ひとつは欠陥発生を防止する製品安全(PS:Product Safety)と、もうひとつは、訴訟された場合や、その事前準備の製造物責任防御(PLD:Product Liability Defense)です。製品安全のための信頼性活動を行って欠陥による安全性に関わる事故の発生を防止することは非常に大事なことです。企業の命運を握っています。そのために、
安全性設計方針
安全設計方針を確立する必要があります、ところで安全設計方針を見たことありますか?
安全性設計の目的は,製品を使用する時にその製品に起因する安全上の問題を防止し故障発生時の影響を小さくすることです。
安全性に関わる事象は人の死、製品の損傷・損害、および環境などの社会的損傷・損害などです。リスクについては今まで多くを別稿で述べてきましたのでここでは簡単にします。
リスクはリスクに関係する故障の発生確率X影響度です。 リスクは,発生の可能性のある故障についてその重要度を評価(アセスメント)します。
リスクマネジメントについてISOホームページを参照ください。
以下は、安全性設計の基本方針、参考にしてください。
(1)安全性設計は,製品のライフサイクルを通してリスク低減を考えること.
安全性設計は,設計段階において製品の全ライフサイクルフェーズを通じて信頼性,保全性,ヒューマンエラー,安全性などに関係する故障発生を防止するように検討する.運用段階の寿命末期における安全性の確保について,製品の保全管理と保全支援が重要になる。すなわち寿命末期は,機器や部品の劣化時期であり,重大事故が発生しやすく,製品の状態を適正に保全・維持していることが重要です。
(2)リスク低減は安全優先で考えること.
・最小リスクとなる設計.
・リスクを許容レベルまで下げる安全装置の設置.
・警報装置.
・上記3項目に対するヒューマンファクターの検討と対策.
・安全操作運転手順書,非常時手順書の作成.
・避けられないリスクのリストアップ.
・故障影響の長時間の防止.
(3)リスク低減は次の事項を検討する.
・発生頻度と影響によるリスク評価.
・影響度の分類.
・危険状態(ハザード:望ましくない影響を引き起こす可能性がある状態)の分類.
・故障発生の防止方法の検討、評価.
(4)コストとのトレードオフを検討する.
リスク低減策は,いろいろな設計案の中から故障の重要性,リスクの発生頻度,および防止に必要なコストとのトレードオフをもとに選択する.
最後に
製品が正常でも取扱いや、不注意などによる製品の故障により、異常運転となり事故となる。人的災害・傷害,ものの焼損,感電などを防止する設計上の検討が必要です。時として製品をつくる、加工作業、組立作業、品質検査作業、出荷・保管作業の安全が忘れられていることが多くあります。以下を参考にしてください。
by Design Safety System